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IATF 16949 7.1.6項:組織の知識【要求事項解説】

1. はじめに

IATF 16949は、自動車業界向けに設計された品質マネジメントシステム規格であり、組織の持続的な改善と顧客満足を確保するために必要な要件を定めています。

その中で「7.1.6 組織の知識」は、品質マネジメントシステムにおける非常に重要な項目であり、組織が製品やサービスを適合させるために必要な知識をどのように管理し、活用するかについて規定しています。

この要求事項は、組織が競争力を維持し、変化に適応するために不可欠な要素です。

本記事では、「7.1.6 組織の知識」に関する要求事項を詳細に解説し、実際の運用方法についても考察します。

組織がどのように知識を特定し、維持し、活用するかを理解することで、品質向上と持続的な成長に繋がるアプローチを探ります。

2. 組織の知識の重要性

「組織の知識」は、単に情報やデータを集めるだけではなく、組織が持つ 経験ノウハウ を含んだ、組織に固有の資産です。

これは、製品やサービスの適合を達成するために必要な知識であり、プロセスの運用においても必要不可欠な要素です。

組織は、次の2つの観点からこの知識を維持し、活用する必要があります。

2.1 知識の維持と共有

組織は、必要な知識を維持し、必要に応じて利用可能な状態にする責任があります。

知識は時間とともに陳腐化することがあり、更新や改善が求められるため、組織はその維持方法を確立し、従業員が適切なタイミングでアクセスできるようにすることが求められます。

2.2 変化に対応するための知識更新

業界や市場は常に変化しており、組織がその変化に適応するためには、最新の知識を取り入れる必要があります。

組織は、現在の知識に基づいて新たな知識の取得方法更新情報へのアクセス方法を決定し、迅速に対応できる体制を構築しなければなりません。

3. 知識源の分類

IATF 16949では、組織が必要とする知識がどこから得られるのか、その源泉についても明確に規定しています。

知識は、大きく内部知識外部知識に分けられます。

3.1 内部知識

内部知識とは、組織内で得られた知識や情報のことです。

これには以下のようなものが含まれます。

  • 知的財産:特許や商標、技術ノウハウなど、組織が所有する無形資産
  • 経験から得た知識:過去の成功事例や失敗事例から得られた教訓
  • プロセス改善の結果:業務プロセスや製品、サービスの改善に関する成果
  • 文書化されていない知識:従業員が日々の業務を通じて得た直感的な知識や経験

内部知識は、組織が持つ独自の強みであり、競争力を高めるための重要な要素です。

これらの知識を適切に整理し、文書化して共有することで、組織全体でその知識を活用することができます。

また、従業員が新しいプロジェクトや改善活動に取り組む際、過去の経験や成功事例を参考にすることで、より迅速かつ効果的に問題解決ができます。

3.2 外部知識

外部知識とは、組織外部から得られる情報や知識です。

これには以下のようなものが含まれます。

  • 標準:ISO規格や業界規格、法規制などの公式な基準
  • 学会:学術研究や論文、専門家の意見
  • 会議:業界イベントやセミナー、ワークショップなどの交流の場
  • 顧客や外部提供者:顧客からのフィードバックや外部のサプライヤーから提供される技術的な知識

外部知識は、特に新しい技術や業界の動向、規制の変更に対応するために重要です。

これらの情報を積極的に収集し、組織のニーズに合わせて活用することで、外部の変化に迅速に対応することができます。

4. 知識の維持と利用可能な状態にする方法

組織が得た知識は、ただ保存するだけでは意味がありません。

適切に維持し、必要な時に利用できるようにするためには、以下の方法が有効です。

4.1 知識の情報管理システムの導入

組織内での知識の共有や活用を促進するためには、情報管理システム の導入も一つの手段です。

情報管理システムを使用することで、組織内の各部署や従業員が得た知識や情報を一元的に管理し、共有することができます。

例えば、過去のプロジェクトの報告書、製品設計の履歴、改善活動の記録などをオンラインで閲覧できるようにすることが、知識の迅速な活用を促進します。

4.2 定期的なトレーニングとワークショップ

組織内での知識の維持や更新には、従業員の継続的な教育が不可欠です。

定期的なトレーニングやワークショップを実施し、新しい技術や知識の習得をサポートすることで、組織全体の知識レベルを向上させることができます。

また、経験を共有する場として、従業員同士のコミュニケーションを促進することも重要です。

4.3 外部リソースとの連携

外部の専門家や業界団体と連携することで、最新の技術や規制に関する情報を得ることができます。

例えば、顧客やサプライヤーとの定期的な会話や、業界イベントへの参加などが、外部知識を組織に取り入れる手段となります。

これらの外部リソースとの連携を強化することで、組織は常に最新の知識を取り入れ、変化に対応する力を高めることができます。

5. 知識の更新と改善活動

組織の知識は一度得られたものでは完結しません。

市場や技術の進化、顧客のニーズの変化に対応するためには、知識の更新改善が必要です。

定期的に知識を見直し、必要に応じて更新する体制を整えることで、組織は変化に柔軟に対応できます。

5.1 知識の更新

知識の更新には、次のステップがあります。

  • 現行の知識の評価:現在保有している知識が最新で有用であるかを評価
  • 新しい知識の収集:外部の変化や新技術、業界標準に基づく情報を収集
  • 知識の整理と更新:新しい情報を既存の知識体系に組み込み、体系的に整理

5.2 改善活動の結果を反映

改善活動やプロセス改善の結果として得られた知識は、すぐに組織内で共有され、次のプロジェクトプロセス改善に反映されることが望まれます。

特に失敗から学んだ教訓は、組織全体で共有し、次の業務に活かすことが求められます。

6. 結論

「7.1.6 組織の知識」の要求事項は、製品の品質を維持し、組織の競争力を高めるために必要不可欠な知識の管理と活用について述べています。

組織が持つ内部知識と外部知識を効果的に維持・更新し、それをプロセスの運用や製品の適合に活かすことで、持続的な改善が実現できるのです。

7. 関連項番

以下、関連項番の要求事項解説もあわせてご活用ください。

7.1 関連度:大(併読を推奨)

7.2 関連度:小

8. 内部監査での確認ポイントと質問例

8.1 内部監査での確認ポイント

■ 組織の知識の管理体制

  • 製品やサービスの適合に必要な知識が特定され、管理されているか
  • 組織の知識が文書化されているか(必要に応じて)
  • 陳腐化防止や維持・更新のプロセスが整備されているか

■ 知識の分類と活用

  • 内部知識(例:過去のプロジェクト、失敗事例など)が適切に蓄積・活用されているか
  • 外部知識(例:ISO、顧客要求、業界動向など)の収集・適用プロセスがあるか

■ 従業員への知識の展開

  • 知識が必要な従業員に対し、適切な手段で提供されているか
  • 教育訓練やOJT等で、知識の共有が行われているか

■ 継続的改善との連携

  • 改善活動で得られた知識(成功・失敗問わず)が文書化・共有されているか
  • 定期的に知識の有効性評価と更新が行われているか

8.2 内部監査での質問例

■ 組織の知識の管理体制

  • 製品やサービスの品質確保のために、どのような知識が必要だと定義していますか?
  • その知識はどこに、どのように保存されていますか?
  • 知識が古くなっていないか、定期的にどのように見直していますか?

■ 知識の分類と活用

  • どのようにして社内の成功・失敗事例を他部門と共有していますか?
  • 業界規格や顧客の要件に関する知識は、どのように入手し、社内に展開していますか?

■ 従業員への知識の展開

  • 新人や中途採用社員には、業務に必要な知識をどのように提供していますか?
  • 日々の業務で、従業員同士が知識を共有する仕組みはありますか?

■ 継続的改善との連携

  • 改善活動の結果やフィードバックは、どこに記録され、次にどのように活かされていますか?
  • 知識が更新された場合、それはどのように現場へ展開されていますか?

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