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ISO 9001 10.2.1項:不適合及び是正処置【要求事項解説】

1. はじめに

「10.2.1 不適合の管理と是正処置」は、製品やサービスにおいて不適合が発生した場合にどのように対処し、その後の再発を防止するために必要な処置を明確にしています。

この要求事項は、企業が不適合を検出した際に行うべき具体的なアクションを定め、継続的な品質改善を確保するための指針となります。

本記事では、「10.2.1 不適合の管理と是正処置」に関する要求事項を深掘りし、企業がどのように不適合に対処し、是正処置を通じて品質を維持し改善するかについて詳しく解説します。

2. 不適合の発生とその重要性

不適合は、製品やサービス、プロセスなどが要求された仕様や基準を満たしていない場合に発生します。

例えば自動車業界においては、製品の品質が安全性や性能に直結するため、不適合の管理は非常に重要です。

不適合が発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。

その管理方法として「是正処置」を重要視しており、問題が再発しないようにするための詳細なアクションプランを提示しています。

  • 不適合の影響

不適合が発生すると、製品の品質や性能に悪影響を与える可能性があります。

特に、自動車業界では安全性や耐久性に関わる不適合が発生すると、重大な事故やリコールにつながる危険性があります。

そのため、不適合が発生した場合の迅速な対応と、原因の徹底的な追及が品質保証の中で最も重要な要素の一つとなります。

a) 不適合への対応

最初に行うべきは、不適合を「管理し、修正するための処置をとる」ことです。

具体的には、不適合が発生した原因を特定し、その原因に対処するために必要な修正処置を講じます。

修正処置とは、問題が発生した際に直ちに製品やプロセスを修正し、品質を回復させるための対応です。

また、「その不適合によって起こった結果に対処する」とも記載されています。

例えば、既に製造された製品が出荷されていた場合、その製品を市場から回収する必要があるかもしれません。

製品が市場に出回る前に不適合を発見した場合、その製品の修理や再加工を行う必要があります。

b) 再発防止のための原因除去

次に重要なのは、不適合が再発したり、他の部門や製品で発生したりしないようにするために、「その不適合の原因を明確にする」ことです。

この段階では、発生した不適合を深くレビューし、原因を特定するための分析を行います。

このプロセスでは、根本原因を明確にすることが不可欠です。

不適合の根本原因を突き止めるための手法としては、以下のようなものが例としてあります。

  • 5 Whys:不適合が発生した原因を5回繰り返し「なぜ」を問うことで、本当の原因を明らかにする方法。
  • フィッシュボーンダイアグラム(特性要因図):原因と結果を視覚的に整理し、問題の発生要因を洗い出すための手法。

また、類似の不適合が他の場所で発生する可能性があるかを評価することも重要です。

例えば、ある部品に関して不適合が発生した場合、その部品を使用している他の製品やプロセスでも同様の問題が発生しないかを検討します。

c) 必要な処置の実施

原因を特定し、その後、どのような処置を実施するかが求められます。

処置には、製品やプロセスを修正するための変更処置、さらには製造方法や品質管理手順の改善が含まれることがあります。

重要なのは、実施する処置が不適合の原因に対して適切であること、またそれが再発防止に効果的であることです。

3. 是正処置の有効性確認と品質システムの更新

是正処置を実施した後、その効果を評価することが求められています。

このプロセスを経て、組織は継続的に品質改善を実現するための仕組みを整えます。

d) 是正処置の有効性のレビュー

実施した是正処置の有効性をレビューすることは、改善活動の中で不可欠な部分です。

是正処置が効果的でなければ、再発防止が実現されない可能性があるため、しっかりと効果を評価する必要があります。

このレビューには、修正処置後の製品やプロセスを再度検査し、問題が解決されたかどうかを確認することも含まれます。

e) リスク及び機会の更新

不適合の管理や是正処置を行う過程で、新たなリスクや機会が生じる可能性があります。

これに対処するために、企業は「計画の策定段階で決定したリスクおよび機会を更新する」必要があります。

これにより、品質マネジメントシステムの改善が進み、企業は常に新たなリスクを認識し、それに対応することができます。

f) 品質マネジメントシステムの変更

場合によっては、是正処置を実施した後、品質マネジメントシステム全体に変更が必要となることがあります。

例えば、プロセスや手順の改善が求められる場合、既存の品質マネジメントシステムを見直して、新しいアプローチを導入することが重要です。

このような変更を通じて、組織全体で品質管理の効率を向上させ、再発防止を確実にします。

4. 是正処置の影響と効果的な実施

是正処置は、単に不適合を修正するためのものではなく、組織の品質管理の全体的な改善に寄与するものです。

規格では、「是正処置は、検出された不適合の持つ影響に応じたものでなければならない」と記載されています。

これにより、処置が不適合の重要性に見合ったものであることが求められています。

企業は、不適合の影響を考慮して、適切な是正処置を行い、その後の追跡とレビューを行う必要があります。

5. 結論

「10.2.1 不適合の管理と是正処置」は、組織が不適合に対して迅速かつ効果的に対応するための重要なフレームワークを提供しています。

不適合が発生した場合、まずは適切に修正し、その後、再発防止のために原因分析と是正処置を行い、必要に応じて品質マネジメントシステムを更新することで、継続的な品質向上を目指します。

この一連のプロセスを実践することにより、企業は製品品質の維持と顧客満足の向上を実現することができます。

6. 関連項番

以下、関連項番の要求事項解説もあわせてご活用ください。

6.1 関連度:大(併読を推奨)

 7. 内部監査での確認ポイントと質問例

7.1 内部監査での確認ポイント

不適合の管理

  • 不適合が発生した場合、組織が速やかに識別し、管理しているか
  • 発生した不適合に対して、修正処置が適切に行われているか
  • 不適合が製品、プロセス、サービスのどこに影響を与えたかを評価しているか

根本原因の特定と再発防止

  • 不適合の根本原因が分析されているか(5 Whys、フィッシュボーンなど)
  • 類似不適合が他の製品やプロセスで発生する可能性を評価しているか
  • 再発防止策が具体的かつ実効性のある形で策定されているか

是正処置の実施

  • 是正処置が原因に対して適切に実施されているか
  • 製品やプロセスの修正、製造方法や手順の改善が行われているか
  • 処置の実施状況が記録・追跡されているか

効果確認と品質システムの更新

  • 実施した是正処置の有効性を評価しているか
  • 新たなリスクや機会が適切に識別され、更新されているか
  • 必要に応じて、品質マネジメントシステム全体の変更・改善が行われているか

処置の適合性

  • 是正処置が不適合の影響の重要性に応じた内容であるか
  • 効果的なフォローアップが実施され、再発防止に繋がっているか

7.2 内部監査での質問例

不適合の管理に関する質問

  • 不適合はどのように識別・記録されていますか?
  • 不適合に対する修正処置はどのように決定・実施されていますか?
  • 発生した不適合による影響範囲の評価は行われていますか?

根本原因分析に関する質問

  • 不適合の根本原因をどの手法で特定しましたか?
  • 他の部門や製品で同様の問題が発生するリスクは評価されていますか?
  • 再発防止策はどのように策定され、実施されていますか?

是正処置とフォローアップに関する質問

不適合の影響に見合った適切な処置が取られているか確認できますか?

是正処置の具体例を教えてください。

実施した是正処置の効果はどのように確認していますか?

是正処置後、品質マネジメントシステムの変更や改善は行われましたか?

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