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ISO 9001 9.1.3項:分析及び評価【要求事項解説】

1. はじめに

「9.1.3 分析及び評価」は、企業が監視および測定から得られたデータをどのように分析し、品質改善に活かすかに焦点を当てています。

この要求事項は、組織が適切なデータに基づいてパフォーマンスを評価し、計画の進捗やリスク、機会を把握して継続的に改善していくための重要な手段です。

本記事では、「9.1.3 分析及び評価」の要求事項に基づき、監視・測定データの分析・評価方法、評価結果をどのように活用するか、そしてその分析が企業の品質向上にどのように寄与するかについて詳しく解説します。

 

2. 分析及び評価の目的

2.1 分析及び評価の意義

「9.1.3 分析及び評価」の目的は、監視・測定結果を基に品質マネジメントシステムの実効性を評価し、適切な改善策を講じることです。

データ分析によって、製品・サービスの適合性や顧客満足度を把握し、今後のリスクと機会を特定することができます。

分析と評価は、組織の戦略的目標に向かって進んでいるかどうかを確認し、品質改善の方向性を定める重要なプロセスとなります。

2.2 継続的改善への貢献

規格の基本的な考え方である「継続的改善」を実現するためには、分析と評価を繰り返し行い、過去のデータを基に改善策を立て、次に進むことが不可欠です。

これにより、組織は品質マネジメントシステムの有効性を維持しながら、品質の向上を目指すことができます。

 

3. 分析及び評価のためのデータ収集

3.1 監視及び測定から得られるデータ

データ分析においては、まず適切なデータを収集することが重要です。

規格では、監視と測定から得られたデータを評価に活用することが求められています。

このデータは、製品の品質、プロセスの効率、顧客の満足度、外部提供者のパフォーマンスなど、多岐にわたります。

具体的なデータ例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 製品品質データ:不良率、品質検査結果、顧客からのクレーム
  • 納期データ:納品の遅延、特別輸送費、納期遵守率
  • 顧客満足度データ:アンケート結果、顧客フィードバック、クレーム対応履歴

これらのデータは、企業のパフォーマンスや品質管理に直結しており、適切に収集・管理することが分析と評価において不可欠です。

3.2 統計的手法の活用

データ分析には、統計的手法を用いることが推奨されています。

統計的手法を使用することで、データに基づく客観的な分析が可能になり、偏りや誤差を最小限に抑えた判断ができます。

統計的手法の具体例としては、次のようなものがあります。

  • 回帰分析:パフォーマンス指標とその他の要因との関係を把握するために使用します。
  • パレート分析:問題の重要度を識別し、最も影響の大きい原因を特定する手法です。
  • 工程能力の評価(Cpk、Ppk):製造プロセスの安定性や能力を評価し、改善点を明確にします。

これらの手法を用いることで、データから得られる知見を深め、より精度の高い分析と評価が可能になります。

4. 分析結果を評価に活用

分析結果は、以下の事項を評価するために活用する必要があります。

(a) 製品およびサービスの適合

分析結果は、最初に「製品およびサービスの適合」を評価するために用いられます。

具体的には、製品が顧客の要求に適合しているか、設計通りに生産されているか、品質基準を満たしているかを確認します。

不良品の発生率やクレーム件数、リコールなどを基に、製品の適合度を評価し、改善すべきポイントを特定します。

(b) 顧客満足度の評価

顧客満足度も、分析結果を基に評価すべき重要な項目です。

顧客からのフィードバック、アンケート結果、クレームデータなどを元に、顧客のニーズや期待に応えられているかを評価します。

顧客満足度が低い場合、原因を分析し、プロセスや製品に対する改善策を講じることが求められます。

(c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンスと有効性

品質マネジメントシステムのパフォーマンスを評価するために、監視・測定データを活用します。

各プロセスが計画通りに実施されているか、問題が発生した際に適切な対応がなされているかを確認します。

また、QMSが組織の目標達成に向けて効果的に機能しているかを評価します。

(d) 計画の実施状況

組織が設定した品質目標や計画が効果的に実施されているかを評価することも重要です。

例えば、品質改善活動やプロセス改善が計画通りに実行されているか、遅延が発生していないかを評価します。

計画が効果的に進んでいない場合、原因を特定し、計画の見直しや改善策を講じる必要があります。

(e) リスクと機会への取り組み

分析を通じて、リスクや機会を特定することも重要です。

例えば、工程の変動が製品品質に与える影響や、顧客ニーズの変化に対応するための新たな機会などです。

これらに適切に対応するためのアクションプランを策定し、組織が積極的にリスク管理を行い、機会を最大化することが求められます。

(f) 外部提供者のパフォーマンス

外部提供者のパフォーマンスも評価する対象です。

供給された部品やサービスが要求に適合しているか、納期通りに提供されているかなど、サプライヤーのパフォーマンスを監視し、必要に応じて改善を求めることが重要です。

これにより、サプライチェーン全体の品質向上が図れます。

(g) 品質マネジメントシステムの改善の必要性

最後に、品質マネジメントシステム自体の改善が必要かどうかを評価します。

これには、過去のデータやプロセスの有効性・効率、リスク管理の状況などを総合的に判断し、QMSの改善点を特定します。

改善が必要な場合、具体的な改善策を策定し、組織全体で実行に移すことが求められます。

 

5. 結論

「9.1.3 分析及び評価」は、監視・測定データを適切に分析し、それを基に品質マネジメントシステムのパフォーマンスを評価するプロセスを定めています。

分析結果を元に、製品の適合性や顧客満足度、品質改善の進捗状況を確認し、必要な改善策を講じることが組織の成長に繋がります。

企業がこのプロセスを適切に実施することで、品質の向上、リスク管理の強化、顧客満足度の向上を実現し、競争力を高めることができます。

 

6. 関連項番

以下、関連項番の要求事項解説もあわせてご活用ください。

6.1 関連度:大(併読を推奨)

6.2 関連度:小

 7 内部監査での確認ポイントと質問例

7.1 内部監査での確認ポイント

(1) 監視・測定データの収集状況と管理

  • 製品品質、不良率、顧客クレーム、納期遵守率、顧客満足度など必要なデータが適切に収集・管理されているか
  • 外部提供者のパフォーマンスデータも含めて収集されているか

(2) データ分析に統計的手法が活用されているか

  • 回帰分析、パレート分析、工程能力評価(Cpk、Ppk)などの統計的手法を用いて分析しているか
  • データの偏りや誤差を考慮した客観的な分析が行われているか

(3) 分析結果をもとにした評価の実施

  • 製品およびサービスの適合性評価が行われているか(不良率、クレーム、リコール等を基に)
  • 顧客満足度の評価が適切に実施されているか(顧客フィードバック、アンケート結果等)
  • 品質マネジメントシステムのパフォーマンスと有効性が評価されているか
  • 計画の進捗状況が評価されているか(品質改善計画の実施状況など)
  • リスクや機会の特定と対応策の検討が行われているか
  • 外部提供者のパフォーマンス評価と改善要求が行われているか
  • 品質マネジメントシステムの改善ニーズが識別され、改善策が策定・実施されているか

(4) 評価結果のレビューと改善活動への反映

  • 評価結果を定期的にレビューし、必要な改善活動に反映しているか
  • 改善活動の効果検証が実施されているか

7.2 内部監査での質問例

(1) データ収集と管理について

  • どのような監視・測定データを収集し、どの部署が管理していますか?
  • 外部提供者のパフォーマンスデータはどのように収集・評価していますか?

(2) 統計的手法の活用について

  • データ分析にどのような統計的手法を活用していますか?
  • 分析結果の信頼性を高めるためにどのような工夫をしていますか?

(3) 分析結果を使った評価について

  • 製品の適合性を評価する際、どのような指標を用いていますか?
  • 顧客満足度の評価方法と頻度を教えてください。
  • 品質マネジメントシステムのパフォーマンス評価はどのように行っていますか?
  • 品質改善計画の進捗管理はどのように実施されていますか?
  • リスクと機会の特定とその対応策はどのように策定・実施されていますか?
  • 外部提供者に対して改善要求を出す基準やプロセスを教えてください。
  • QMSの改善ニーズはどのように特定し、改善策を実行していますか?

(4) 評価結果の活用について

最近の改善活動で評価結果を活用した事例を教えてください。

評価結果をどのようにレビューし、改善活動に反映していますか?

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