みなさんはIATFの勉強を進めるなかで、こういった疑問やお悩みはありませんか?
今回はこのような疑問やお悩みにお答えします。
こんにちは、IATFスクールです。わたしのプロフィールです。
・自動車部品メーカーで品質管理業務に従事しています
・国内外工場IATF認証の取得〜維持、IATF教育を担当しています
・IATF16949サプライヤー監査員(SAC)資格をもっています
今回は、本要求事項の概要、背景・目的、押さえるべきポイントを簡潔にまとめました。
この解説を読めば、IATF初心者でも要求事項の本質がわかるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
要求事項の概要
要求事項の原文
まずはIATF規格本を一読下さい。
IATF16949 4.1 組織およびその状況の理解
※著作権上、各自お持ちのIATF規格本をご覧下さい
概要をわかりやすく解説
要求事項の概要が理解できるように、補足を入れつつまとめました。
会社がもっている目的や方針・目標などを達成するために、社内外の状況を理解した上で、それぞれの課題を明確にすること。
そして、それらの課題の状況を監視、レビューすること。
注記1:課題には2種類ある
・好ましい要因・状態
・好ましくない要因・状態
好ましい要因・状態とは、それらが解決できると会社としての成長・利益などの、ポジティブな面につながるものです。
一方、好ましくない要因・状態とは、その真逆です。それらが解決できないと会社として成長できない、不利益になる、などのネガティブ面につながるものです。
会社として存続していくためには、どちらの課題も検討する必要があります。
注記2:「社外の状況」を理解する際に考慮すべき項目
・全世界を対象に考える(国内、海外、全地域を含めて考える)
・会社を取り巻く様々な環境を考える(法令、技術、競争、市場、文化、社会、経済など)
注記3:「社内の状況」を理解する際に考慮すべき項目
・社内の環境を考える(会社の価値観、文化、知識、パフォーマンス)
「価値観、文化、知識」とは、会社設立時~現在までの社内環境のことを指しています。
「パフォーマンス」とは、会社運営における様々なパフォーマンス(経営、品質、人材育成、など…)のことを指しています。
要求事項の背景・目的
この要求事項の背景には、『サプライヤーという会社を存続させたい』というIATF自動車メーカーの思いがあります。もう少し具体的に解説します。
サプライヤーなしでは自動車は作れない
IATF自動車メーカーは自動車を生産するために、多くのサプライヤーから部品を供給してもらっています。
しかし、もしサプライヤーが経営不振で部品を生産できなくなったり倒産したりしてしまえば、IATF自動車メーカーはそのサプライヤーから部品の供給を受けられなくなり、自動車が生産できなくなってしまいます。
しっかりとした経営基盤が必要
サプライヤーから部品の供給ストップを未然に防ぐためには、サプライヤーはしっかりとした経営基盤をもつ必要があります。
よってIATF自動車メーカーは、この要求事項を通して、『サプライヤーとして部品を供給し続けてもらうために、会社の状況を理解して課題に取り組んで、会社を存続させられる経営基盤を持ちなさい』ということを要求しています。
押さえるべき3つのポイント
この要求事項では、以下3つのポイントを押さえましょう。
①最終目標と、その達成に向けた課題を明確にする
②課題の中から、取り組む課題をピックアップする
③取り組む課題の監視、レビューをする
①最終目標と、その達成に向けた課題を明確にする
まずは、最終目標(会社のもっている目的、方針、目標など)を明確に理解しましょう。最終目標がないと、課題は明確にはなりません。
最終目標が理解できれば、いまの会社の状態とのギャップがみえてきます。
そのギャップを埋めるためにはどのような課題があるか?を、様々な角度から検討していきましょう。
②取り組むべき課題を明確にする
①で検討した課題は、数も多く、多岐にわたると思います。
ただし、これらのすべての課題に取り組もうとすると、時間もコストもかかります。
要求事項でも、すべての課題に取り組むことまでは要求されていません。
そのため、検討した課題の中から、目標達成に効果のある課題や会社として注力すべき課題を判断して、ピックアップしましょう。
③取り組む課題の監視、レビューをする
②でピックアップした課題について、定期的に進捗確認、レビューしましょう。
レビューでは、単に課題の取り組み状況だけでなく、課題に取り組むことで期待していた良い効果(最終目標の達成度など)を含めるとベターです。
なお、確認頻度は特に要求されていませんが、取り組む課題の内容やその影響などによって決めれば問題ありません。
まとめ
要求事項の概要
会社がもっている目的や方針・目標などを達成するために、社内外の状況を理解した上で、それぞれの課題を明確にすること。
そして、それらの課題の状況を監視、レビューすること。
要求事項の背景・目的
『サプライヤーとして部品を供給し続けてもらうために、会社の状況を理解して課題に取り組んで、会社を存続させられる経営基盤を持ちなさい』というIATF自動車メーカーの思い
押さえるべき3つのポイント
①最終目標と、その達成に向けた課題を明確にする
②課題の中から、取り組む課題をピックアップする
③取り組む課題の監視、レビューをする
今回の解説を読んで、要求事項の本質が理解できるようになれば幸いです。
以上、参考になれば嬉しいです。
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