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IATF 16949 10.2.6項:顧客苦情及び市場不具合の試験・分析【要求事項解説】

1. はじめに

IATF 16949は、自動車業界における品質マネジメントシステムの規格であり、その中で顧客満足の向上と製品の品質確保を最優先事項として掲げています。

この規格の中で特に重要な要求事項の一つが、「10.2.6 顧客苦情及び市場不具合の試験・分析」です。

顧客からの苦情や市場での不具合は、企業にとって品質問題として早急に対処すべき重要な課題です。

これらの問題に適切に対応することで、顧客満足度の向上や再発防止が可能になります。

本記事では、顧客苦情や市場不具合に対する対応方法、試験・分析のプロセス、再発防止策などについて詳しく説明します。

 2. 顧客苦情及び市場不具合の分析

(a) 顧客苦情や市場不具合への対応

顧客からの苦情や市場で発生した不具合に対する適切な対応は、企業の品質管理において非常に重要です。

これらの問題が発生した場合、組織は直ちに対応を開始し、その原因を特定するために試験・分析を行わなければなりません。

このプロセスにはいくつかの重要なステップがあります。

苦情・不具合の記録と詳細な情報収集

顧客からの苦情や市場での不具合が発生した場合、まず最初に行うべきことは、その情報を詳細に記録し、問題の範囲や影響を正確に把握することです。

顧客のクレーム内容や不具合の発生場所、時間、条件などを収集し、問題を明確にします。

この段階で、どの製品が不具合を引き起こしているのか、どの工程で問題が発生したのかを特定するためのデータ収集が必要です。

問題の詳細な分析

情報収集が完了したら、次に行うべきは問題の詳細な分析です。

顧客からの苦情や市場での不具合に関連する部品や製品を回収し、原因を特定します。

この際、使用する手法としては、故障モード影響解析(FMEA)や原因と結果を分析する「フィッシュボーンダイアグラム」、5 Whys(なぜなぜ分析)などがあります。

これらの手法を用いて、不具合の根本原因を特定し、問題解決に向けた初期段階の手順を整えます。

(b) 試験・分析の実施

顧客苦情や市場不具合に対して分析を行う際には、回収部品を含めた試験・分析を実施することが求められます。

これにより、問題の特定だけでなく、その原因に関連する物理的・化学的要因や、製造プロセスや材料の問題、あるいは設計ミスなどを明らかにします。

回収部品の検査と評価

 市場で発生した不具合に関連する製品や部品は、回収して検査を行います。

回収部品の検査により、問題がどの部品に起因しているのか、どの部分で不具合が発生したのかを特定することが可能です。

検査には、耐久性試験、機能試験、環境試験などが含まれることがあります。

これらの検査結果を分析することで、問題の範囲や深刻度を評価します。

組み込みソフトウェアの相互作用の分析

顧客が求めた場合、特に電子機器や自動車のような高度な技術を使用した製品では、組み込みソフトウェアの相互作用の分析が必要です。

製品のソフトウェアが不具合を引き起こす可能性がある場合、ソフトウェアの動作やハードウェアとのインターフェースが正しく機能しているかどうかを検証します。

これにより、ハードウェアとソフトウェア間の相互作用の問題を特定し、根本的な解決策を見つけることができます。

データ収集と記録

試験や分析の過程で得られたデータは全て記録し、後でレビューできるように管理します。

データの記録は、再発防止策を講じるためにも非常に重要です。

これにより、同様の不具合が再発しないように、今後の製品や工程の改善に繋げることができます。

3. 再発防止のための問題解決と是正処置

問題を特定し、原因を分析した後、最も重要なのは再発防止策を講じることです。

問題解決のプロセスでは、原因を解決するための適切な対策を決定し、実施する必要があります。

再発防止策には、次のような手順が含まれます。

根本原因の特定と分析

問題解決の第一歩は、問題の根本原因を正確に特定することです。

この段階では、先述したFMEAや5 Whysを用いて、表面的な原因にとどまらず、深層的な原因を特定します。

根本原因が明確になることで、それに対する効果的な対策を講じることができます。

是正処置の実施

是正処置は、特定された原因を取り除くための具体的なアクションです。

これには、製品の設計変更、製造プロセスの改善、品質管理体制の見直し、材料や部品の改善、スタッフの教育・訓練などが含まれます。

是正処置が実施されることで、再発のリスクが低減し、品質の向上が図られます。

是正処置の有効性の確認

是正処置を実施した後、その効果が実際に発揮されているかを確認することが重要です。

これには、再度の試験や検査を行い、問題が解決されたかどうかを確認します。

是正処置が有効であることが確認できるまで、さらに改善措置を講じる必要があります。

4. 顧客及び組織内への結果の伝達

試験・分析の結果、問題の原因や是正処置の内容を顧客及び組織内で共有することが求められます。

この結果の伝達は、透明性を保ち、顧客との信頼関係を築くために非常に重要です。

顧客への報告

顧客に対しては、問題が発生した原因や、その後の試験・分析結果、実施された是正処置を明確に伝えることが求められます。

顧客には、どのような改善が行われ、どのように再発防止が図られたのかを説明し、信頼回復を図ります。

組織内へのフィードバック

組織内で問題の原因とその解決策を共有し、同様の問題が再発しないように取り組みます。

これにより、組織全体での品質向上を促進し、全員が品質改善に貢献できるようになります。

5. 結論

「10.2.6 顧客苦情及び市場不具合の試験・分析」は、顧客満足度を維持するために欠かせない重要なプロセスです。

顧客からの苦情や市場で発生した不具合に対して適切に対応し、その原因を分析して再発防止のための是正処置を実施することが、企業の品質向上と競争力の向上に繋がります。

試験・分析結果を顧客や組織内に共有し、全員で問題解決に取り組むことが、企業の成長に貢献します。

6. 関連項番

以下、関連項番の要求事項解説もあわせてご活用ください。

6.1 関連度:大(併読を推奨)

6.2 関連度:小

7. 内部監査での確認ポイントと質問例

7.1 内部監査での確認ポイント

顧客苦情や市場不具合への対応

  • 顧客苦情や市場不具合が発生した際の対応プロセスが明確に定められているか
  • 苦情や不具合の記録・情報収集が体系的に行われているか
  • 問題の範囲、影響、関連製品が正確に特定されているか

試験・分析の実施

  • 回収部品や製品に対して試験・分析が実施されているか
  • 試験・分析に必要な手法(FMEA、フィッシュボーン、5 Whysなど)が適切に使用されているか
  • データの収集と記録が適切に行われ、再発防止に活用されているか
  • 組み込みソフトウェアを含む製品の相互作用の分析が必要に応じて行われているか

再発防止のための問題解決と是正処置

  • 根本原因分析が適切に実施され、表面的な原因だけでなく深層原因まで特定されているか
  • 是正処置が実施され、改善策が具体的かつ効果的であるか
  • 是正処置の有効性が確認され、必要に応じて追加措置が講じられているか

顧客及び組織内への結果の伝達

  • 顧客への報告が適切かつタイムリーに行われているか
  • 組織内で分析結果や是正処置の情報が共有され、品質改善に活用されているか

7.2 内部監査での質問例

顧客苦情や市場不具合への対応

  • 顧客から苦情や市場不具合が報告された場合、どのような手順で対応していますか?
  • 苦情や不具合に関する情報はどのように収集・記録されていますか?
  • 影響範囲や関連製品の特定はどのように行われていますか?

試験・分析の実施

  • 回収部品や製品に対してどのような試験・分析を実施していますか?
  • 使用する分析手法(FMEA、フィッシュボーン、5 Whysなど)はどのように選定していますか?
  • 分析結果はどのように記録され、再発防止策に活用されていますか?
  • 組み込みソフトウェアの影響も評価されていますか?

再発防止のための問題解決と是正処置

  • 根本原因分析はどのように実施されていますか?
  • 是正処置の実施状況と効果確認はどのように行っていますか?
  • 必要に応じて追加の改善策は講じられていますか?

顧客及び組織内への結果の伝達

  • 試験・分析結果は顧客にどのように報告されていますか?
  • 組織内で結果が共有され、品質改善に活用されていますか?

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